読者の皆さん、自分の死後のことを考えたことはありますか?
近年の「終活」ブームに伴って遺言書や遺書を書く人が増えているそうです。
ここで、「遺言書と遺書って違うの?!」と疑問を持たれた方、要注意です。
遺書は「亡くなった人が死後のことを考えて書き残した文書や手紙」で、プライベートな内容も含まれます。たしかに、遺書を通して始めて夫の不倫が発覚した、なんていう事件もしばしば…。
一方で遺言書は「死後の財産の処分の方法や未成年の子供の世話を誰にしてほしいかなどを記した法的な書類」です。そのため、きちんと規定の方法に則って作成すれば、遺産相続の際、遺言書が優先され、親族のトラブルを防止したり、自分の意思の通りに財産を遺すことが可能になるのです。
ここで、実際に遺言書が法的な効力を発揮したエピソードをご紹介いたします。
2016年1月、数年前に亡くなった資産家女性Aさんの家政婦が、Aさんの実の娘2人と遺産相続を巡って争った東京地裁における訴訟の判決です。
Aさんは生前作成した遺言書において「全財産を家政婦に渡す」と明記していたにも関わらず、娘2人が「遺言書は無効である」とし、家政婦に遺産を残さなかったため、家政婦が遺産の返還を求めて訴訟を起こしました。
娘たちはAさんの世話を全て家政婦に任せ、Aさんにお金を無心し続けていたため、Aさんは遺言書において、50年の長きにわたり献身的に世話をしてくれた家政婦に全財産を渡す旨を明記していました。
この遺言書が民法上効力を発揮し、東京地裁は娘2人に家政婦に遺産を返還するよう命じたのです。このエピソードが証明するように、きちんと法的な手続きを踏んでさえいれば、たとえ法定相続人(配偶者や子どもなど当然相続の権利があるとされる人)以外であっても自分の意思の通りに遺産を遺すことができるのです。
では、遺言書を実際に作成するにあたってどのようなことに注意すればよいのでしょうか?
その答えは次回のブログでご紹介します。
(続く)