敢えてテーマを「勘違い」としましたが、厳しく言うと無知。
以前お話しした通り、遺言で長男に全資産を残すといっても、長女にも最低保証で法定相続分の1/2は取り分がありますよ。果たして、「取り分」という表現もいかがなものかと思いますが、父なき今、長女の頭の中にあるのは、財産の現実だけ。
では、無知とは・・・いかに。
一つは、そもそも「遺留分」という最低保証制度があるのを知らないケース。
特に、長女はゼロって言われると、「むむむっ!」って、何とかもらえないかと調べたり、聞いたりするのですが、中途半端に100万円とか言われると、遺言で書いてあるなら仕方ないなぁ~と、遺留分の制度自体に気が付かないまま、納得しちゃうのではないでしょうか。
もう一つは、遺留分の計算は相続税評価額ではなく、相続財産を時価で考えた上での価格だということ。いつものお話ですが、相続は時価で考えるべきで、時価と相続税評価額は違うということをお忘れなく。つまり、時価相続で考えると、遺留分も全く違う額になるということですので、税理士さんにお願いする相続税申告とは別に、資産の時価を調べないと遺留分は算定できないのです。
せっかく子ども達が揉めないように遺留分を配慮して遺言を書くにしても、時価を調べていないと、遺留分を侵害しているケースは大いに起こりうるのです。
意味のある遺言作成には、時価相続における資産の評価が必須ですね。