1951年の第一回改正以降、2003年、2008年、2015年と、近年立て続けに改正が行われてきた「相続税法」。
相続というと、財産をめぐった醜い争いをイメージする人も多いのではないでしょうか。今日はそんな「相続」の問題がいつどこで誕生したのか、その奇跡を辿ってみましょう。
日本で相続の概念が顕在化するのは、武田信玄や上杉謙信が活躍した戦国時代、16世紀以降といわれています。
「お家制度」という言葉があるように、なんとなく我が国の相続は遥か昔から続く伝統のようなイメージがありますが、意外にもその歴史は400〜500年程度のものだったのです。
16世紀以降、農民も苗字を持つことが一般的になります。同時に、相続されるものの対象も戦前の「お家制度」同様に財産・名前・家業の3点セットが徐々に確立されました。しかし、ここで驚くべきは、鎌倉時代までは、戦後から現在と同じ「分割相続」が一般的だったという事実です。つまり、長男のみが家財の大半を得る「単独相続」とは異なり、財産が家長の妻子に分配されていたのです。進んでいますね。
しかし、分割相続によって当然農民の土地はどんどん細分化されていきます。したがって、ある程度まとまった財産として相続するために単独相続が主流となり、お家制度が形成され、戦後までの長きにわたって我が国の相続の柱となったのです。
ちなみに、「相続税」が日本ではじめて成立したのは1905年。日露戦争の費用の穴埋めとして新たに打ち出された財政政策の一つでした。欧米諸国において同法律が成立するのは、ドイツ1906年、アメリカ1916年、イギリス1946年であることを考えると、日本は相続税先進国だったのですね。
とはいえ、何より相続の最大の動機は「家の世代を超えた永続」。誰もが必ずといっていいほどぶつかる問題だからこそ、しっかりと考えていきたいものです。